一般入試終了

こんばんは。

高校は本日(18日)、一般入試が行われました。

今日のこの行事をもって、高校の一年間の中学生の皆さんへの入試・広報活動が終了しました。

もちろん、前回の奨学・専願入試の受験生(そしてその中の合格者)、本日の一般入試の受験生の中に、未来の本校の生徒になる、という皆さんがいるわけですが、オープンキャンパスを含め、見学や受験で縁あって本校とコンタクトを取った全ての中学3年生の皆さんに、厚く御礼申し上げます。どうもありがとうございました。

少し個人的な話を…

大学時代、私は「厚生部」という部活動で活動していました。

「本学の学生に対する福利・厚生活動に資する」という性格の団体で、所属する学生にアルバイトや下宿を斡旋したりする、というのが主な業務だったわけです。

その業務の中に「入試業務」がありました。大学で行われる入試にまつわる様々な業務(願書の開封作業やナンバリング、掲示物の作成、入試日当日の試験場の管理、試験監督補助のアルバイトの管理など)を行っていたのです。

大学の担当職員の人に「なんで入試業務って僕らがするんですか?」と聞いたことがあります。

その担当職員の人は「そりゃ、あんた、『未来の』ウチの学生のためだもん」と即答したものです。

たくさんの受験生と、歩留まりということを常に意識せざるを得ない私立学校で仕事を行う者にとって、たくさんいる受験生の中で、誰が本当に自分の学校の学生になってくれるか、という話は雲を掴むような話です。

その入試業務をしていたある年、件の担当職員の人に酒の席で「森光、入試で一番『やってよかった』と思うときって、どんな時?」と尋ねられました。

未熟な私は「あああ…失敗なく自分の役割の仕事を終えたときですかねぇ…」と答えたものでした。

するとその職員は、

「確かにそうかもしれんね(笑)。…俺?…俺は、一日の試験が終わって、受験生が無事に正門を出て行く様子を見るのが、一番好きだね。ほら、受験生は、登校するときはバラバラじゃん。だけど、帰るときは、みんな一緒。一団になって、ぞろぞろと正門から無事に試験を終えて出て行く様子を見るのが、一番好きだなぁ…やってよかったと思うなぁ…」

と答えたものでした。

本当に自分の学校に来てくれる学生を探すことが雲を掴むような話なのなら、その雲ごと大切に見つめることこそ私学に奉職するものの務めだと思っています。たくさんの受験生、と書きましたが、少子高齢化のこのご時世、受験生はたくさんいるもの、とふんぞりかえってなどいられないことを考えれば、この思いはなおさらのことだとも思います。

入試の日、とは、試験という形式が持つ独特の、あのひりひりとするような雰囲気と相まって、そんな思いが一番強く、繊細な形で出る日だといえます。個人的には、私立学校にとって「一番大切な日」だと思っています。

そういえば、大学の入試業務の中にあったのは「掲示」という仕事。Windows95はもうあった時代でしたが、掲示物はコンピュータに頼ることなくすべてマジックで手書きしていました。教室番号や受験番号を示した数字のゆがみは、御法度。一人一人の受験生に平等に正しく整った態度を示すべき、ということでした。

大学の部活動らしい気合いの入った伝統、と学生だった当時は捉えていましたが、実際に自分が私学に勤めるようになってからは、妙に「一人一人の受験生に、等しく」という箇所が頭をもたげるようになったものです。

今日の試験終了後、本日は平常授業だった中学の原山副校長が高校職員室に足を運ばれて、高校の小牧副校長に、

「何事もなく、無事に終わりましたか」

と声を掛けに来られていたのが印象的でした。

今日一日、それぞれの教職員は様々な業務に従事していましたが、教職員全員が、今日の試験が、そして今年度の入試がつつがなく誰にとっても無事に終わることを心から祈っていました。

受験生の皆さん、本当にお疲れ様でした。

追伸

前回のエントリーで渋い背中を見せた教務事務ののTさんは今年度も校内を縦横無尽に大活躍。特に今年は新校舎建設中のため、受験生の集合場所や送迎の導線などを多方面と綿密に打ち合わせている姿が印象的でした。

今日の写真より一葉。

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朝、6:30の校舎です。試験場の電気がきちんと点灯するか、そして暖房を入れて試験場を温めていたTさんは、この写真の左側で受験生集合場所の体育館の準備をしていました。

周到な準備が成功を生む──受験生ばかりでなく、受験を執り行う側も同じことですね。

身内、ましてや同級生は褒めないという日本人の美徳をここではあえて横に置いておいて…Tさん、今年もお疲れ様でした。