全国高校総合文化祭の報告

これまでの人生でも夏はおおかたついてなくて、今年も色々とやられてばかりの森光です。

さて、そんなさえないワタクシとは裏腹に、本校の3年生、井上裕美子さんが全国高校総文祭 小倉百人一首かるた部門の読手コンクールにて最優秀賞を受賞、見事日本一に輝きました!!
このコンクールは、簡単に説明すると、昨年の秋から冬にかけて行われた予選(20都府県より41人が応募)の中からベスト3を選出し、実際に全国高校総文祭の競技かるた部門の試合で読手を務め、その中で優劣を競うというものです。
その審査は、読手としての発音の声量、滑舌、余韻…といった内容をチェックされます。
体育館中に聞こえる声を競技中(競技かるたの団体戦は、ひと試合だいたい1時間半から2時間ぐらいかかる)ずっと出し続けるわけですから、序盤と終盤に変わらぬ声量を保つという視点では体力勝負とも言えます。
彼女は昨年、同じ大会に出場して、第二席扱いの「優秀賞」を受賞したのですが、今年は階段をもう一つ上がっての頂上に立った、というわけです。
もともと「文芸部」を担当しているワタクシにどこからともなく「今度百人一首をする生徒が入学してくるから」という話が舞い込んできたのは三年前。
本校には部活動としての百人一首部はなく、県の高文連が「文芸・百人一首部門」であることから窓口を担当することになった──という経緯こそ、よく言う「ひょんなことから」というきっかけそのものと言えるでしょう。
だから昨年の全国総文祭の出場が決まった、という知らせも、ほとんど門外漢のワタクシにとってみれば海のものとも山のものともつかない話であり、わけのわからないまま会場入りしたことを覚えています。
昨年の彼女も、とてもうまく読めていたと思います。実際に全国大会に駒を進めた三人の中でも、ひけをとらないものであることは素人目にも分かりました。ただ…
百人一首にはよく似た言葉や同じ単語を使う歌が複数あります。暗記が重要な意味を持つこの競技では、その歌は間違えやすいものとして注意されるべきものです。次の二首もそうでしょう。
ちぎりおきし させもがつゆを いのちにて あはれことしの あきもいぬめり
ちぎりきな かたみにそでを しぼりつつ すゑのまつやま なみこさじとは

簡単な話ではないのですが、結果的に昨年の彼女はこの二首を誤読(上の句と下の句を間違えてしまった)してしまったのです。

「あああー、まちがえちゃいましたねー」と(少なくともワタクシの前では)平静に振る舞っていた(ように見えた)彼女、ホントのところ、悔しかったと思います。

最優秀賞が取れなかったことではなく、誤読をしてしまった自分に。

また、準備の練習の時から、ずっと陰に日向に面倒を見て下さった高文連専門部のH先生は、誤読をさせたのは自分のせいだとばかりに自分を責めたりなんかもしました。

ワタクシも、そんなふたりの様子を見てからというもの、なんだか複雑な気持ちで1年を過ごしました。古文の授業で「ちぎる」とか「ちぎり」といった単語が出てくると(実際重要単語なのでよく出てくる)、一瞬授業中の説明に言葉が詰まったりもしました。

今年も彼女が全国大会への切符を手に入れた、と聞いたワタクシが思った正直な気持ちは、次のようなものでした。

「今年こそ、『