「阿蘇山」という名称は山域の総称であり,その最高峰は高岳です。
高さが1592mであるため,「肥後国(ヒゴクニ)」の語呂合わせで標高が覚えやすい。
阿蘇山は世界最大級のカルデラを有し,火口が見物できることで観光地としても全国的に有名ですが,熊本県人といえども,高岳に登ったことのある人はそれほど多くないのではないでしょうか。 今回は熊本県が世界に誇る阿蘇山の最高点高岳にチャレンジしました。参加生徒は2年女子1名,1年男子2名,それに私顧問の末次と,山を愛する同僚の中山の計5名です。
高岳の登山コースはいくつかありますが,今回はミヤマキリシマで有名な仙酔峡から登ることにしました。ロープウェイ駅の駐車場広場が登山口です。ここから熔岩流の尾根が,高岳山頂の東に突き上げています。この尾根を仙酔尾根といい,登り一辺倒の坦々とした長い尾根が続くため,通称バカ尾根とも呼ばれています。この尾根を登って山頂に至ります。
9時54分出発。登山口から望む山肌は白く輝き,雪が残っているようです。天気は快晴でしたが,空は霞んで視界が悪い。北外輪山は野焼きの真っ最中で,風で運ばれた茅の黒い燃えかすが空を舞っています。岩に付けられた黄色いペンキの印をたどってコースを外さないように,熔岩の固まったゴツゴツとした岩を踏みしめながら登っていきます。
足下にはだんだん残雪が見られるようになり,尾根を3分の2ぐらい登った急斜面の岩場付近から上部は,ただでさえ歩きにくい岩が凍結していました。雪もカチカチに固まっています。不安が胸をよぎりました。もし滑落したら命はありません。最悪を免れたとしても,進退窮まり,ヘリで救出といった事態になれば 。山頂手前の主稜線に出たときは,本当に胸をなで下ろしました。何もなかったからよかったものの,今回の山行は山のリーダーとして完全に失格です。まず,この季節に登る山として阿蘇高岳を選んだことがそもそも間違っていました。そして登山口に着いた時点でもっと慎重な判断をすべきでした。想定外だったという言葉は言い訳にはなりません。今後,安全第一を心掛けたいと思います。山をなめたらあかん!
11時56分,高岳山頂に到着。山頂下の日溜まりで昼食をとりました。下山は,中岳(1506m)を経由して,ロープウェイの火口東駅へ下り,あとは遊歩道をだらだらと下って14時1分に無事登山口に到着しました。生徒は音をあげるかなと思っていましたが,最後まで元気に歩き,楽しそうでした。また,登ろうね。
高岳・中岳は,個人的にはあまり好きな山ではありません。雄大なロケーション,世界に誇るカルデラ,活動している火山という大自然がある一方で観光地でもあり,登山中に「ロープウェイは現在運行しています。次の出発は 」といった放送が聞こえてくると何となく興ざめです。しかし,熊本県に住んでいて,登山をやっている以上,阿蘇は避けて通るわけにもいかず,山岳同好会の生徒に一度は体験させておこうと思い,今回登ったわけです。
さて,次回は 。渓流があり,自然林の豊富な山に登りたい。