卒業生総代答辞(平成二十六年度)

答 辞

私たちは、今日、この熊本学園大学付属高等学校での最高の三年間に終わりを告げ、旅立ちます。

本日は、私たちのために、このような盛大な卒業式を挙行していただき、生徒一同、感激に浸っているところです。また、先程は学長先生をはじめ、来賓の皆様方より、心温まるお言葉をいただきました。卒業生を代表し、感謝申し上げます。

長いようで短かったこの三年間。何よりも「出会い」の大切さを実感しました。この仲間に、そして、先生方に出会うために学付に来たのだと、私は、今、改めて思います。
紫紺祭や水泳大会などの行事はもちろん、毎日のように、他愛のないことで笑い合い、楽しい時を共に過ごした仲間。また、苦しい時、勉強に行き詰まってつらかったとき、言葉をかけてくれたのも、頑張る姿で励ましてくれたのも、その仲間でした。私は、今、改めてお礼を言いたいと思います。本当にありがとう。

私は、三年間、弓道部に所属しました。部員は大変多く、毎日、道場は人で溢れていましたが、同学年同士はもちろん、先輩と後輩の仲もとにかく良く毎日部活に行くのが楽しみでした。入部当時、想像していた以上に夏は暑さに冬は寒さに鍛えられました。仲間とは本音をぶつけ合うことで、切磋琢磨することができ、顧問の先生やコーチには的確なアドバイスを受けながら、最後まで、自分自身と向き合うことができました。
また、うまく弓を引けず、調子が悪くなった時、その原因はほとんどが、基本をおろそかにしていることにありました。弓道の世界に身を置くことで、いかに基本が肝心であるか、ということを実感しました。平日は、毎日弓道に打ち込み、帰宅時間が遅くなることもありましたが、定期テスト前はテスト休みのため、テスト勉強の時間をしっかり確保でき、文武両道の高校生活という私の目標をこの学付で実現することができました。

また、熊本市=ドイツ・ハイデルベルク市青少年交流事業に参加することで得た、国境を越えての出会いも、異文化や言葉のすばらしさに気づくことができた、私の高校時代の大切な出会いのひとつです。

私は、第一志望校の高校に不合格という結果で、学付に入学しました。中学生の、特に三年生の時は第一志望校合格のために、これでもかという程の努力をしたつもりでした。「努力は実る」という言葉を信じて頑張ったのに、実際は「実ら」なかったとき、「努力は怖い」と思いました。「努力は実る」という言葉は無責任で、実った人が言えるただの結果論だと感じました。
しかし、今日、この日を迎えて、これも結果論かもしれませんが、私も「努力は実る」ということを実感しています。なぜなら、中学生の時の努力が、学付での一日一日の生活の中で一輪づつつぼみを膨らませ、今日、満開の時を迎えているということを、つくづくと実感するからです。努力をしても実らないことを怖いと思っていたけれど、学付に来て、また努力をしている自分がいました。それはやはり、添削や質問などの対応で一人一人の生徒と真剣に向き合い、成績や進路についても親身になって相談に乗って下さった先生方のおかげだと思います。私はクラスで目立っている方だとは思っていませんでしたが、私が負けず嫌いであることを先生に見抜かれていることを知った時は、先生は生徒のことをよく見ていると思ったものでした。時には厳しく、時には優しく、私たちを指導して下さった先生方、本当にありがとうございました。

そして、今日まで、私を温かく見守ってくれた家族。ここまで、私を育ててくれた両親に本当に感謝しています。何かを決める時には、自分で決めるように言ってくれました。その分、自分で選択するにあたっては、覚悟と責任が必要であり、でも、私が決めたことには全力で応援してくれ、どんな時も私の味方でした。受験生活では気を遣わせてしまったかもしれないけれど、家族の存在は私の助けになっていました。いつも体調を心配してくれた父。毎朝、早朝にお弁当を作ってくれた母。側で支えてくれた両親のおかげで、ここまでやって来れました。また入試直前に、応援メールを送ってくれた兄、そして姉。遠くから妹の私のことを気に掛けてくれた兄姉にも心から感謝しています。本当にありがとう。

仲間や先生、そして家族に出会えたこと。この先、生きる中で、将来誰に会うことになるかはわからないけれど、学付でのすばらしい出会いを振り返ると、それは偶然ではなく、必然的なものも感じられます。そしてこの出会いがきっとどこかに繋がっています。英語の授業で学習したスティーブ・ジョブズの言葉に「将来に向けて点と点を繋ぐことはできません。振り返って初めてそれらを繋ぐことができるのです。だから、点と点は、何らかの形で繋がると信じなければなりません」というものがあります。人生は出会いの連続です。これからも、学付での出会いを一つの点として、いつ、どこで繋がるとも知れない、多くの人達との意味のある出会いを、繋がる先の点として、大切にしていきたいです。

今日、ここにはいないけれど、さまざまな理由で学付を離れた仲間もいます。突然の別れとなった人も、クラスの人達の都を借りて学校生活への復帰を目指したけれど、叶わなかった人もいます。過ごした時間は短かったけれど、私たちと大切な日々を過ごした大切な仲間です。この出会い、そして共に過ごした日々の思い出を忘れることはありません。

現代は、世界との距離も近くなり、行き交う情報と、目まぐるしい科学技術の発展で、日々、世界は変化しています。また、国内外で起きる残虐な事件も後を絶ちません。今年は、戦後七十年を迎える節目の年でもあります。豊かさとは、命とは、平和とは何なのか、今こそ振り返る必要があります。身をもって体験して初めて痛感することもあるけれど、起こってしまってからでは手遅れで、失ってしまうものもあります。そして、それは二度とは帰ってきません。学付で培った、人を思いやる気持ちを忘れずに、これからも生きていきます。

そして、これからの学付を引っ張っていく立場となる後輩のみなさん。みなさんには、まだまだ学付で過ごす時間が残されています。時間は着実に過ぎていきますが、一日一日を精一杯頑張って、そして学付での生活を楽しんで下さい。困った時、行き詰まった時、周りには力になってくれる仲間と先生がいます。悔いのないように残りの高校生活を送って下さい。皆さんの活躍を期待しています。

学付での最高の三年間はもう、過去の一部になろうとしています。日々を共に過ごした仲間、先輩や後輩、先生方、家族。本当に、ありがとうございました。

そして、もう一言。私たちが一、二年生の時を過ごした校舎にもありがとうを伝えたいです。そして、お疲れ様。学び舎で過ごした日々の思い出はたとえ校舎がなくなっても、永遠に私たちの胸の中で生き続けます。

最後に、熊本学園大学付属高等学校の、今後の益々の発展を祈念し、答辞の言葉とさせていただきます。

平成二十七年三月三日
熊本学園大学付属高等学校 第五十四期生
卒業生総代 成瀨さくら

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